「遺言書を作ろう」と思い立ったとき、最初に直面するのが公正証書遺言にするか、自筆証書遺言にするかという選択です。
どちらも法的な効力を持つ遺言書ですが、作成の手順、費用、そして死後の手続きの確実性に大きな違いがあります。そこで、この2つの遺言形式を比較し、ご自身の状況に合わせてどちらを選ぶべきかを解説します。
1. 公正証書遺言:安心と確実性を買う
公証役場で、元裁判官などの法律のプロである「公証人」に作成してもらう遺言です。
◼️メリット
無効になる心配がほぼない
法律の専門家が関与するため、形式不備で無効になることはまずありません。
相続開始後の手続きがスムーズ
家庭裁判所での「検認(けんにん)」という手続きが不要なため、亡くなった直後から預金の解約や不動産の名義変更に使えます。
紛失・改ざんの心配無用
原本は公証役場という公的機関で厳重に保管されます。
◼️デメリット
費用と手間がかかる
公証人手数料(数万円〜十数万円)がかかり、証人2名の立会いが必要です。また、必要書類を集めてから作成完了までに数週間から、公証役場の混雑具合によっては3ヶ月ほどの時間を要する場合もあります。
2. 自筆証書遺言:手軽さとプライバシー重視
自分で紙に全文を書き、日付、氏名を書いて押印する遺言です。 ※財産目録のみパソコン作成可
【メリット】
費用がかからず、すぐ書ける
思い立ったその日に、費用をかけずに作成できます。何度でも書き直しが容易です。
誰にも知られずに作れる
証人が不要なので、遺言の内容はもちろん、遺言を書いたこと自体を秘密にできます。
【デメリット】
無効になるリスクが高い
「日付がない」「署名がない」「訂正方法が間違っている」など、わずかなミスで無効になるケースが後を絶ちません。
死後の手続きが大変(検認が必要)
遺言書が見つかった後、家庭裁判所で「検認」を受けなければならず、これには1〜2ヶ月程度の時間がかかります。 ※法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用した場合は、検認が不要になります。
あなたはどちらを選ぶべき?状況別のおすすめ
それぞれの特徴を踏まえ、あなたの置かれた状況によってどちらを選択すべきかが変わります。
【A】「公正証書遺言」を強くおすすめするケース
以下のような事情がある場合は、費用をかけてでも公正証書にすべきです。
- 「相続争い」が起きる可能性が高い場合 「特定の子に多く渡したい」「前妻との間の子がいる」「子供がおらず兄弟姉妹が相続人になる」など、揉める要素がある場合は、証拠能力の高い公正証書が必須です。
- 高齢である、または病気療養中の場合 自筆証書遺言は、後から「認知症で判断能力がなかったから無効だ」と訴えられるリスクがあります。公証人が意思能力を確認して作成する公正証書の方が、そのリスクを大幅に軽減できます。
- 手が不自由で、長文を書くのが辛い場合 自筆証書遺言は、財産目録以外はすべて自筆でなければなりません。公証人が代筆してくれる公正証書の方が負担が少ないです。
- 相続人に負担をかけたくない場合 残された家族に「検認」という裁判所の手続きをさせたくない場合は、公正証書(または法務局保管制度)を選ぶべきです。
【B】「自筆証書遺言」でも良いケース
以下のような場合は、まずは自筆証書から始めてみるのも一つの手です。
- まだ若く、健康である場合 将来的に財産状況や家族構成が変わる可能性が高く、とりあえずの備えとして書いておく場合。
- 相続人が配偶者のみ、あるいは一人っ子のみの場合 相続関係がシンプルで、揉める相手がそもそもいない場合。
- とにかく費用をかけたくない場合 まずは自筆で作成し、専門家の添削を受けることで不備のリスクを減らす方法もあります。
まとめ:迷ったら専門家へ相談を
「費用を安く済ませたいから自筆証書にしたけれど、不備があって無効になってしまった」 「公正証書にしようと思ったけれど、書類集めが大変で挫折してしまった」
こうした事態を避けるためにも、まずは専門家にご相談ください。 当事務所では、お客様の家族構成や財産状況をヒアリングし、「あなたにとってベストな遺言形式」をご提案いたします。公正証書での遺言作成のフルサポートはもちろん、自筆証書の書き方指導や添削、おひとりおひとりの抱える事情に寄り添ってきめ細かなご支援を用意し、幅広く対応しております。
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