遺言は、ご自分の財産を誰にどのように残すかを、法律上の効力のある形で書き残すものです。この記事では、遺言が無い場合の相続の進み方と、遺言の種類、公正証書遺言の作り方の流れ、公証人手数料の目安をご紹介します。
遺言を残さなかった場合に起こりやすいこと
遺産の分け方は、相続人全員の話し合いで決めます
遺言が無い場合、遺産の分け方は、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決めます(民法第907条)。遺言で「誰に、どの財産を」と示しておけば、ご家族はその内容に沿って手続きを進められます。
相続人ではない人には、財産が渡りません
遺言が無いと、財産は法律で決まった相続人が受け継ぎます。お世話になった方など、相続人ではない人に財産を残したいときは、遺言で財産を贈る(遺贈する)方法があります(民法第964条)。
遺言の3つの種類
民法が定める普通の方式の遺言は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つです(民法第967条)。
| 種類 | 作り方 | 家庭裁判所の検認(第1004条) |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 作り方ご本人が全文・日付・氏名を手書きし、印を押す(財産目録はパソコンで作れる)(第968条) | 家庭裁判所の検認(第1004条)必要(法務局の保管制度を使えば不要) |
| 公正証書遺言 | 作り方証人2人の立会いのもと、公証人が作る(第969条) | 家庭裁判所の検認(第1004条)不要 |
| 秘密証書遺言 | 作り方封をした遺言書を、公証人と証人2人の前に出す。内容は秘密にできる(第970条) | 家庭裁判所の検認(第1004条)必要 |
当事務所では、公証人が法律の決まりに沿って作り、原本が公証役場などで保管され、検認も要らない「公正証書遺言」をおすすめしています。
公正証書遺言の作り方
どの財産を、誰に残すかを考えます。財産を一覧にしておくと、書き忘れを防げます。
- 遺言者の印鑑登録証明書(発行から3か月以内)、または運転免許証・マイナンバーカードなど官公署発行の顔写真付きの身分証明書
- 遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本
- 相続人以外の人に遺贈する場合は、その人の住民票など住所の分かるもの
- 不動産がある場合は、登記事項証明書と固定資産評価証明書(または納税通知書の課税明細書)
- 預貯金がある場合は、通帳またはそのコピー
(日本公証人連合会「遺言」Q&A による)
公正証書遺言には、2人以上の証人の立会いが必要です。未成年者、推定相続人と受遺者、それらの配偶者と直系血族などは証人になれません(民法第974条)。
公証役場に連絡して、遺言の内容と書類を伝えます。公証人が作った文案を確かめ、直したいところがあれば修正してもらいます。
遺言者が証人2人の前で内容を公証人に伝え、公証人が読み聞かせるか閲覧させて内容を確かめます。間違いがなければ、遺言者・証人・公証人が署名(令和7年10月からは電子サイン)をして完成です。
公証人手数料の目安(令和7年10月改定後)
公正証書遺言を作るときは、公証役場に手数料を納めます。手数料は、財産を受け取る人ごとに、受け取る財産の額で計算して合計します。
| 目的の価額(受け取る人ごとの財産の額) | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円を超え100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円を超え500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円を超え3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円を超え5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円を超え3億円以下 | 4万9,000円に、超過額5,000万円までごとに1万5,000円を加算 |
| 3億円を超え10億円以下 | 10万9,000円に、超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算 |
| 10億円を超える場合 | 29万1,000円に、超過額5,000万円までごとに9,000円を加算 |
- 財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る財産の額で手数料を求め、それを合計します。
- 遺言全体の財産が1億円以下のときは、「遺言加算」として1万3,000円を加えます。
- 枚数による加算:紙で作る公正証書は、枚数が4枚(法務省令で定める横書きの公正証書は3枚)を超えるとき、超える1枚ごとに300円を加えます。電子データで作る公正証書は、記録されている内容をすべて書面に出力した枚数が3枚を超えるとき、超える1枚ごとに300円を加えます(公証人手数料令第25条第1項・第2項)。
- 遺言者に渡す正本・謄本(またはそれに相当するもの)の交付手数料が別にかかります。電子データは1通2,500円、書面は1枚300円です。
- 公証人が病院などに出張する場合は、手数料が1.5倍になることがあり、日当(1日2万円、4時間までは1万円)と交通費がかかります。
計算の例(日本公証人連合会の説明による):妻に6,000万円、長男に4,000万円を相続させる場合、妻の分が4万9,000円、長男の分が3万3,000円で合計8万2,000円。全体が1億円以下なので遺言加算1万3,000円を加え、9万5,000円になります(このほか、正本・謄本の交付手数料などがかかります)。
行政書士に依頼する場合
遺言の内容の整理と原案の作成、書類の取り寄せ、公証役場との打合せ、証人の手配は、当事務所にご依頼いただけます。ご自身で進めることもできます。
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