公証役場は、公証人が仕事をする事務所で、全国に約300か所あります(日本公証人連合会「公証役場」、2026年10月4日確認)。公正証書遺言を作るときに利用する場所です。
公証人は、法務大臣に任命され、所属する法務局が指定されます(公証人法第11条)。裁判官・検察官・弁護士の資格を持つ人などから任命されます(公証人法第12条・第13条)。依頼者の代理人として働く弁護士や司法書士とは違い、中立の立場で、公正証書の作成や認証を行います。
公証役場でできること
公証人法第1条などにより、公証役場では主に次のことができます。
- 公正証書の作成
- 私署証書(私人が署名・押印した文書)や会社の定款の認証
- 確定日付の付与
公正証書の作成
公正証書は、依頼を受けて、公証人が法律に基づいて作る公文書です(公証人法第1条)。
民事訴訟法では、公務員が職務上作ったと認められる文書は、真正に成立した公文書(作成者とされる公務員が作った文書)と推定されます(民事訴訟法第228条第2項)。
確定日付の付与
私署証書に日付のある印を押し、その日にその文書があったことを証明するものです。手数料は1通700円です(日本公証人連合会「手数料」)。文書の内容が正しいかどうかを確かめるものではありません。
認証
私署証書の署名や押印が本人のものであることなどを、公証人が証明するものです。会社を設立するときの定款の認証も、公証役場で行います。
公正証書遺言とは
公正証書遺言は、遺言者が証人2人の立会いのもとで遺言の内容を公証人に伝え、公証人がそれを文章にまとめて作る遺言です(民法第969条)。原本は公証役場など(電子データの原本は日本公証人連合会のシステム)で保管され、家庭裁判所の検認も要りません(民法第1004条第2項)。
自筆証書遺言は費用をかけずに作れますが、法律で決められた書き方(全文・日付・氏名の自書と押印など。民法第968条)を守らないと、遺言として認められないおそれがあります。
公正証書遺言の作成で、行政書士がお手伝いできること
行政書士などの専門家に頼まなくても、公正証書遺言は作れます。ただし、誰にどの財産を残すかなど、遺言の内容はご本人が決めて公証人に伝える必要があります。
公正証書遺言を作るには、印鑑登録証明書、戸籍謄本、不動産の登記事項証明書など、いくつもの書類を公証役場に出します(日本公証人連合会「遺言」Q&A)。原案づくり、書類の取り寄せ、公証役場との打合せ、証人の手配を、行政書士に任せることもできます。
公正証書遺言にかかる費用
公証役場に納める手数料は、次のとおりです(令和7年10月1日改定後)。
| 目的の価額(受け取る人ごとの財産の額) | 手数料 |
|---|---|
| 50万円以下 | 3,000円 |
| 50万円を超え100万円以下 | 5,000円 |
| 100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円を超え500万円以下 | 13,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 | 20,000円 |
| 1,000万円を超え3,000万円以下 | 26,000円 |
| 3,000万円を超え5,000万円以下 | 33,000円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 49,000円 |
| 1億円を超え3億円以下 | 4万9,000円に、超過額5,000万円までごとに1万5,000円を加算 |
| 3億円を超え10億円以下 | 10万9,000円に、超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算 |
| 10億円を超える場合 | 29万1,000円に、超過額5,000万円までごとに9,000円を加算 |
- 財産を受け取る人ごとに、その人が受け取る財産の額で手数料を求め、それを合計します。
- 遺言全体の財産が1億円以下のときは、「遺言加算」として1万3,000円を加えます。
- 枚数による加算:紙で作る公正証書は、枚数が4枚(法務省令で定める横書きの公正証書は3枚)を超えるとき、超える1枚ごとに300円を加えます。電子データで作る公正証書は、記録されている内容をすべて書面に出力した枚数が3枚を超えるとき、超える1枚ごとに300円を加えます(公証人手数料令第25条第1項・第2項)。
- 遺言者に渡す正本・謄本(またはそれに相当するもの)の交付手数料が別にかかります。電子データは1通2,500円、書面は1枚300円です。
- 公証人が病院などに出張する場合は、手数料が1.5倍になることがあり、日当(1日2万円、4時間までは1万円)と交通費がかかります。
計算の例(日本公証人連合会の説明による):妻に6,000万円、長男に4,000万円を相続させる場合、妻の分が4万9,000円、長男の分が3万3,000円で合計8万2,000円。全体が1億円以下なので遺言加算1万3,000円を加え、9万5,000円になります(このほか、正本・謄本の交付手数料などがかかります)。
専門家に依頼する場合は、別に報酬がかかります。当事務所の料金は遺言作成の料金表をご覧ください。
